寂寥 ページ11
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家に着いたのは2時過ぎ。
体も心もだるいが、冷え切った自分を温めるためお風呂を沸かす。
「画面越しと直接では衝撃が違うな…」漏れた言葉は誰にも届くことない。
お姫様に対しての触れないでよって気持ちも、辰哉に対してのせめて動揺してよっていう思いも全部飲み込む。
(今までだってなんてことないって顔してきた。これからも出来る…よね…。)
決壊に近づきつつある心のキャパを見ないふりしてついたため息は、お風呂が沸いたことを知らせる音にかき消された。
ーーーーー
ーー
体が温まったからか、ずいぶん気分も落ち着いた。
鏡に映る目の赤い自分の姿を見ないふりして、髪を乾かす。
そのままベットに行こうかとも思ったけど、多分眠れないから、テレビをつけたままソファに横たわる。
消音状態のテレビには、深夜ならではのショッピング番組。
(私が寝るのが先か、朝のニュースが始まるのが先か)なんて考えていると、震える携帯。
ディスプレイには【辰】の文字。
一瞬出るのを躊躇したけど、もしかしたら今日のこと説明してくれるのかもしれない。
淡い期待を隠しながら、電話を取る。
「はい」
『Aちゃんもう家？』
「うん」
『今日は意外なとこにいたねー』
「今日出てたDJの人、友達の推しなんだって」
『そーなんだー』
(辰哉はなんであんなところにいたの？)
『俺びっくりしたわ』
「私もびっくりした」
『しかもめめに口説かれてたでしょー』
「普通に話してただけだよ。」
『いや、あれは狙ってたね。Aちゃんは俺の彼女なのにー』
(辰哉は私の彼氏なのに、私以外の女の子と腕組むんだね)
「馬鹿な事言ってないで［たつー、早く帰るよー］…早く帰りな？」
電話の奥で聞こえたのはお姫様の声。
(こんな時間まで一緒にいるんだ。一緒の場所に帰るの？)
『ちょっと待っててー！…じゃあ、また連絡する』
「うん。お休み」
終話を映すディスプレイは時間が経つと、真っ暗な画面に切り替わる。
映った自分の顔は、今にも泣きだしそう。
(そんな顔するなら言っちゃえばいいのに…)
心に浮かんだ疑問符を素直に吐ければどんなに楽だろうか…。
でも、勝手に我慢して、いい女を演じたのは自分。
終わるのが怖くて、何も言わなかったのは自分。
目を閉じて、両手を握りしめてそう言い聞かせる。
(傷ついてない。まだ大丈夫…)
目を開けた時、テレビにはさわやかなアナウンサーの笑顔が映っていた。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
