安息 ページ12
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あの日からいつも通り過ごす。
お互い合うことはあってもあの日のことを話すことはなかった。
今日だってそう。いつも通りのはずだった。
日付が変わる数十分前。
(そろそろ寝ようかな)
テレビを消し寝室に向かう最中インターホンが鳴る。
しかも、オートロック前ではなく家の前。
一瞬びっくりしたけど、扉の前にいる相手は見なくてもわかる。
(鍵持ってるんだから、そのまま入ってきたらいいのに…)
毎回そう思うけど、彼なりの気遣いってわかってるからあえて何も言わない。
目的地をベットからキッチンに変え、お気に入りのマグを2つ用意してお湯を沸かしだす。
『Aー。』
「ここにいるよー」
呼ばれた返事にそう返せば、足音がこちらへと向かう。
マスクに帽子、眼鏡といったいつものスタイルの彼。
「お疲れ様」
そう言えば、嗅ぎなれた香水と温もりに包まれる。
『あぁ、落ち着くー』
私の首元に顔を埋め、そこで話すから擽ったくて身をよじれば、より強く抱きしめられる。
「外寒かった？何か温かいの飲む？」
『うん。でも、もうちょっとこのままがいい。』
「了解です。」
多忙を極める彼が少しでも癒やされたら…そんな思い出彼の気が済むまで付き合ってあげよう。
ーーーーー
ーー
二人の抱擁は意外な形で終わりを告げた。
ピューー！
「…ごめん、辰哉。お湯湧いた。」
『もー。』
そう言いながらも、ゆっくりと体を離してくれる。ちょっとだけ名残惜しいけど、今は火の元優先だ。
「辰哉、何飲む？」
『いつものやつ』
「ん。」
慣れた手つきでティーパックをマグカップに垂らし、お湯を注ぐ。
ふわりと香る匂いに心躍らせていれば後ろから彼の腕が腰に回された。
それを軽くタップし、彼用のマグを渡せば片手にカップ、猛片手はわたしの手を握りソファーへと導かれる。
カップをテーブルに置いたのを見て、彼は両腕を開く
『ん。おいで』
甘い声に誘われれば、断る理由を私は持ち合わせない。
ーーーー
ーー
「折角、あったかいの入れたのに…」
あれから、あれよあれよと辰哉のペースにのまれ気づけばベッドで朝を迎えた。
痛む腰をさすってお風呂に入りリビングへと行けば、置き去りのカップが2つ。
熱々だったはずのカップの中身はすっかり冷たくなり、時の経過をまじまじと感じる。
ジトリと睨む先にはタオルで濡れた髪を拭きながらヘラヘラと笑う男。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
