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『え？Aちゃん、ザリガニ釣りしたことないの？！』
「…え？そんな通過儀礼的なもんなの？ザリガニ釣りって」
私の言葉に超音波みたいな声で笑うラウールくん。
『やったことない子おるんやったら、やろか！』
向井くんの言葉で、さっきまで拒否されていたはずのザリガニ釣りの開始が決まった。
戸惑う私を置いて『せっかくなら勝負しようよ』『チームは…』どんどんと話が進んでいく。
結果、私は目黒くんとのチーム。
「…このチーム分けはどういうことなの？」
『ディフェンディングチャンピオンのめめと初心者のAちゃん。後はそれなりの経験者ってとこや！』
「…りっちゃん、ザリガニ釣ったことあるの？」
〔男兄弟がいる田舎者は、だいたいザリガニ釣りを経て大人になるからね〕
「…聞いたことないんだけど」
親友の意外な一面に驚きながら、制限時間を決めそれぞれ別れる。
『じゃあ、行くか』
「…仰せのままに」
あははと笑う彼の背に着いていく。
ーー
ー
『こうやって垂らして…』
「ん。」
二人でお掘りの端に座り、ぼーっと周りの景色を見る。
『引いてる？』
「釣りしたことないから、どれが引いてるなのかも分かんない。」
『ふはは！そっちの釣り竿も見とくわ』
「お願い。…ねぇ、今日なんで誘ってくれたの？」
辰哉からメンバーを紹介されたことは一度もないのに、
こんな形で彼のメンバーに会うことになるなんて思わなかった。
正直男の人の気持ちは私は分からない。だから素直な質問をぶつけてみた。
『…一緒に来たかったって以上の理由はないんだけど、嫌だった？』
「ううん。でも君は芸能人でしょ？
どこでどうなるか分からないリスクを抱えて誘ってくれた理由が気になって…」
『…友達だから』
「そっか。…ありがとう。」
『ありがとうより名前呼んでくれる方が嬉しい』
「…頑張る」
会話は彼の釣り竿に付いたザリガニが終止符を打った。
携帯のアラームがこの勝負の終わりを告げた。
バケツのそこにうごめく赤いそれらをちょっと気持ち悪く思いながら、三人が待つテントへと向かう。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
