会遇 ページ7
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りっちゃんを見送ってどれぐらい経っただろう。
数杯目かになるグラスの中身もあと少しで、無くなりそう。携帯を片手に、ため息を付いた。
さっきから数分おきに誰かしら話しかけてくる。
最初は苦笑いをしていたが、片手で数えられなくなった頃には、携帯とお友達になり聞こえないふりをするという技を覚えた。
(自分がクラブに居るなんて変な感じ…)
今までこんな場所に来る機会も無かったから、この年で初体験があるなんて思いもしなかった。
だんだんと爆音や空気感にも慣れてきたから、ゆっくりと周りを見渡す。
初めて来たクラブは想像以上に煌びやかなんだなと感心していると、二階の手摺に体を預けるように凭れる男性が見えた。
(脚長っ)
遠目からでもわかるスタイルの良さに勝手に感心してしまった。少し気だるそうな姿が様になっている。
頭に浮かんだのは今世紀何をしても決まる男と呼ばれる人の顔。
(いるわけ無いか…)すぐにその顔は消してしまう。
無意識に見つめているとその人と目が合った…気がした。遠いし薄暗いから確証はない。
(そういえば2階は部屋になってて、VIP ROOMって言ってたなぁ)
さっき教えてもらったことを思い返していると、気怠げな彼が手摺に腕を置き、手を振っている。
思わず周りを見渡すが私以外にいるのはバーカンの中のお姉さんだけ。しかもお姉さんは全然違う方を見ている。
(私か？)と首を傾げれば、答えるように首を縦に振るから、何気なく振り返してみた。それを見て嬉しそうに笑った彼。
彼が手摺りから体を離した時「お客様、飲み物のお代わり大丈夫ですか？」と明るく通る声で話しかけられた。
声がしたほうを振り返れば、バーカンのお姉さんが私と私のグラスを交互に見やる。
気づけば少なかった中身は氷も解けて、水と区別がつかないほどの状態になっていた。
(もう1杯飲むか？りっちゃん戻ってくるかなぁ…)
どうしようかと考えていると、耳元にかけられた『奢りましょうか』の声。
騒がしい店内。距離が近いとはいえ、こんなに鼓膜を揺らすものかと驚きに任せて振り向いてしまいたいが、あたしはこの声の主を知っている。
未だに振り返らない私に痺れ切らしたのか、今度は肩を抱かれさっきより低い声で問いかけられる。
『一緒に飲みません？てか、飲みたいです。』
彼は画面の中も外も真っ直ぐな人らしい。
(これ以上逃げられない…)
ゆっくりと横を向けば、恐ろしく綺麗に笑う目黒蓮が立っていた。
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のん(プロフ) - とても面白い小説ではまってしまいました。主人公の気持ちがとても切なく、共感できる素敵な主人公だなと思います。どんな結果でも幸せになってほしい！これからも応援してます。 (3月15日 16時) (
レス) id: d13a90d6ad (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。思いあってるのにすれ違ってる2人も、彼女のことを考えてくれる目黒くんも、立場を考えると切なくなります。深澤担ですが主人公がしっかりとしてるのに、段階を踏んで目黒くんの優しさに触れていく過程が素敵でした。続き楽しみにしてます。 (3月15日 4時) (レス) @page38 id: 3a34fd6c9d (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます！続きがとても楽しみです！ (3月13日 22時) (レス) @page38 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月3日 21時
