ねぇ、ちゃんと聞いて【青】

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よく考えれば、




いや、よく考えなくても分かっていた事だった。






渡辺くんが陽キャなイケメン男子であるように、





久美もまた、学年1の美女なのである。






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1年前





入学式の日、トイレの横で疼くまる久美を見かけた。






周囲はこれから始まる式の事で頭がいっぱいで、彼女の姿なんてまるで目に入っていないようだった。







「…大丈夫？」






しゃがんで彼女に問いかける。






久「お腹…痛い」






「えっ！？」






顔を上げた久美は真っ青な顔をしていた。






聞けば予定外に女の子の日になってしまったらしい。







私は常備していた必要な物を彼女に渡し、トイレへと促した。






久「ありがとう…助かった」






安心感からか、少し顔色が良くなった久美がトイレから出てきた。






改めてその顔を見ると、芸能事務所に入っていてもおかしくないくらい整った顔をしていた。







「あとこれ、私ので良かったら」







まだ体調の悪そうな彼女に薬と自動販売機で買ってきた冷たい水を差し出した。







久「…本当に…、ありがとう…っ」






その場で泣き出してしまった久美の背中をさすり、私たちは急いで体育館へと向かった。


そしてギリギリというところで何とか入学式にも間に合う事ができた。







その後私たちは同じクラスという事も判明し、2年生になった今年も同じクラスになった。








その日から久美は、

「Aは命の恩人。Aを傷付ける奴は私が許さない」

と、私の親友兼、護衛となったのだった。







「命の恩人なんて大袈裟だなぁ」って笑って言ったら、






「右も左も分からない中で、初日から想定外の事が起きて不安だった時に声を掛けてくれた事は、命拾いに値するくらいの事だった」と未だに久美は私にそう話す。








何はともあれ、私もその日から久美という美人で優しくて芯の強い素敵な親友ができたのだった。






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そんな久美を渡辺くんが気になっているという。








これはもう、私の出る幕なんて最初からないも同然だ。








…ただ１つだけ、問題があった。

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