ねぇ、ちゃんと聞いて【青】

#6 ページ6

渡「ねぇ（人1）さん？聞いてる？」






久美との思い出を遡っていると、渡辺くんに現実に引き戻される。






「あっ、ごめん。うん…聞いてる」





私の事を知っていたのも、久美といつも一緒にいたからだという事で納得できてしまうのが悲しい。







渡「藤田さんてさ、今彼氏いんの？」





単刀直入に聞く渡辺くん。





「…いないよ」






渡「マジ？！っしゃあ〜！」






ガッツポーズをして本当に嬉しそうな渡辺くん。






「だけど…渡辺くんくらい人気ある人なら自分で話しかければ良いのに」






渡「俺って人気あるの？」





「自覚ないの？」





渡「ん〜…ない事もないか、笑」






何だそれ。






「わざわざ回りくどい事しなくても良いのに」






そしたら私がこの場で失恋する事も無かったのに。







渡「いや、まぁそうだけどさ。俺も出来れば傷付きたくないし、ある程度のリサーチって必要じゃん？」







必要じゃん？と言われても…

恋愛ビギナーの私にはそんな事は知るはずもない。







翔「…つか、ごめん。初めて話しかけていきなりこんなお願いするなんて、さすがに失礼すぎだよね」






そう言って頭を下げる渡辺くん。






…なんだか自信家で自己中的な雰囲気を醸し出していたかと思いきや、こんな風に自分の行動を振り返って急に謝ってきたりして。







益々、渡辺くんという人がよくわからない。






よくわからなくて、気になって仕方ない。






惹かれてしまうよ…






「ううん、そんな。謝らないで？」






渡「ん、ありがと」






そう言って優しく笑う。






ずるいなぁ…







「…だけど、協力って具体的に何すれば良いの？」







渡「いや、普通に藤田さんについて色々教えて欲しい。好きなタイプとか」







「…あぁ…、なるほど」







…どうしよう、







ひとつだけ問題があるとは、まさにこの事。








久美に彼氏はいないけれど、



好きな人がいるんだよ、渡辺くん…。

#7→←#5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す