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「ね、言ってってば」
『…あの、えっと』
「…言わないとちゅー、するぞ」
さっきよりグッと近づいた彼の顔に
思わずギュッと目を閉じると
彼の気の抜けた笑い声が聞こえた。
「嘘、ごめんねこわがらせて」
『へ』
「でも、聞こえちゃったから」
……俺が、ずっと言って欲しかった言葉。
そう言った彼が、私の頬にゆっくり手を添えて
愛でるかのように撫でた。
「俺、結構我慢してたっすよ」
『が、まん……?』
「俺が好きなのバレバレなのに必死に隠そうとしてるのみて」
「……まじかわいーって。」
「早く俺のもんにしたいなーって、思ってた」
彼の言葉に驚いているつかの間、
ちゅっと一瞬だけ触れた唇。
色々と状況が追いつかない中で確かなのは、
壁際に追い詰められて、彼にキスされたことだけで。
「ね、俺のこと好きって言って、目見てさ」
『む、むりです、ていうかダメです色々と、』
「何が?逆に無理なんだけど」
『目黒さんはアイドルで、私はただのスタッフの1人で』
「……もー、関係ないでしょ、結局好き同士だし」
加入した時から、一生懸命頑張るAちゃんの事見てたし
その時から、可愛くて健気で、好きだったよ。
私の目を見てそういった彼。
今まで見た事ない、あの時よりももっと
優しくて、柔らかい彼の笑顔。
思わずポロっとこぼれた涙に、
また泣いてるじゃん、俺の前でさって
笑いながらキスを落として、抱きしめた。
「やっぱ駆け引きとか無理。ね、俺のものになって」
(ちなみに、メイクの時のアレ、毎回寝たフリね)
(え!?)
(俺の事起こすだけで、緊張してるAが可愛くて)
(……しれっと呼び捨て、やめてください、)
(ふは、そうやって俺の事でいっぱいになっててよ)
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時