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『あ、けて、いい?』
「いーけど」
未だに慣れなくて恥ずかしいのか、
視線はテレビに向けたまま、返事をした。
せっかくくれたプレゼント、
ぐしゃぐしゃにならないように、ゆっくりゆっくり開けていく。
『かわいい…』
中に入っていたのは、小さな星型のネックレス。
私が前にショップの前を通った時、
かわいいと呟いたものだった。
そんなもの似合わねー、とあの時笑っていたのに
…こんなの、期待しちゃうじゃん。
「ま、気に入ったなら付けたら」
嬉しいはずなのにどこかモヤモヤとした感情になる。
他の子にも…簡単にこういう事するのかな。
だめ、ありがとうって言わないと。
翔太のくせに気が利くじゃんとか、わかってるじゃん?とか
いつもみたいに言えばいいのに。
『他の人にも、こういうのするの?』
「は…?」
頭で考えている言葉は口に出なくて
そのかわりに、言いたくなかった言葉がこぼれた。
1度出てしまったものは止まることはなくて
次々に溢れてしまう。
『だめだよ私にまでこんなことしたら』
「ちょっと、お前何言ってんの」
『まさか何かたかってやろうとか思ってる?嫌だよ』
「あのさ」
『それか他の子にあげようとしてたりした?フラれたとか?』
「だから、」
『やめてよ、こんなの期待するから』
何も聞きたくなくて、遮ってそう言ってしまった後
後悔するのに時間はかからなかった。
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時