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「うん、それは伝わってるけど」
『だからね、康二くんのお仕事が増えて、色んな人に愛されて、すっごく嬉しいよ』
「…ん」
『キスも、ハグも、何とも無いわけじゃないし…でもね?』
『向井康二っていう1人の男の子がしてくれるキスは、私だけが貰えるものでしょ?』
そう言って笑うと、目をうるうるさせた。
「〜〜っA!」
『苦しいよ康二くん』
「ほんま好き、だいすき、めっちゃ好き」
『はいはい』
私の胸元に顔を埋めて、グズグズと鼻を啜った。
優しすぎて、心配だったんだろうな。
いくらお芝居とはいえ、ラブシーンはファンの子を傷つけてしまう事もある。
それを理解してと言っても、伝わらない時は伝わらない。
…今回のこのシーンも、大切に撮ったって言ってたけど、相当不安だったんだ思う。
何より、私にその場面を見られるのが。
『康二くん、大丈夫だよ』
「うん」
『ふふ、だーいすき』
ロン毛の健ちゃんも色気あって好きだけどね、と告げると
なんかそれは嫌や、と悔しそうな顔をした。
「浮気はあかん」
『浮気?あれは康二くんでもあるでしょ』
「…でも健ちゃんやん。俺は俺やもん」
すっかり甘えん坊モードで、私の事を抱きしめて離さない。
かっこつけちゃうとこも、男らしいとこも、泣き虫なとこも、こういう甘えちゃうところも、全部好きだけど。
「…な、もうベッド行こ」
『まだ日付も変わってないのに珍しいね』
「寝るんちゃうもん」
最後にそう言った後、今度は康二くんからキスされた。
ちゅ、ちゅと何度も降ってきて、段々息が出来なくなって。
『…康二くん』
「健ちゃんのキスシーンは終わり。俺といっぱい、ちゅーしよ」
ベッド、行こうって言ったくせに。
ソファになだれ込む2人、何度もキスした。
(俺の方が、健ちゃんよりちゅーうまいもん)
(…なあに、その張り合い)
(あんなうっとりした顔して見られてたら、張り合いたくもなるやろ)
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作者名:蒼 | 作成日時:2024年2月25日 20時