満開桜と咲かない恋 (ページ15)

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ジリジリページ15

『あっつ…』
「ね、まだ5月なのに。髪下ろしてらんないよ」
『これが温暖化だよ…温暖化』
「あは、頭良さそうな発言」
『ラウールくん、失礼』

練習から2週間。私たち3人組はすっかり仲良しになっていた。
今日も中庭のベンチで仲良くお弁当を食べる。
最初は心地よかったのに、最近はジリジリとどこか暑くなってきて。

『もう明後日だよ、体育祭も』
「俺監修だもん。絶対優勝だね」
「あんな難しいの踊らされてんのに、勝てなかったら文句言うわ〜…」

放課後はほぼ毎日、練習に費やしていた。
ラウールくんは、同級生からも後輩からも人気がある。
そんな彼の言う事にみんな素直に従うおかげで練習もスムーズに終わった。

「めめ達も張り切ってた！そういえば」
『蓮くん？』
「うん、昨日久々に会ったんだ〜」

あれからバタバタして顔を見てない。練習の場所も毎回順番に回すので、あれ以降被ることもなくて。

(…元気だったんだ)

まずはその事に、どこかほっとする。

「あ、噂をすれば」
「ほんとだ。次体育なのかな」

昼休みが終わる15分前。
制服ではなくジャージに身を包んで、サッカーボール片手に男子たちとグラウンドへ向かっている。

襟足は少し短めに切られていて、全体的にスッキリしていた。
髪、切ったんだ。…前のも好きだったけど、似合ってるなあ。

お弁当箱を片付けながらぼんやりとみつめる。
そんな彼の所に、数人の女の子たちが駆け寄った。
…ジャージを着てるから、多分同じクラス。仲、いいのかな。

「目黒くん、相変わらずモテるんだね」
「ね〜、めめってばヤラシ〜！」

女の子の手は彼の腕に触れていて、胸がちくんといたんだ。

「…Aちゃん？」
『…へっ？あ、何？』
「いや、いきなり黙り込んでボーっとするから」

大丈夫？と覗き込んだラウールくんに平気だよと笑いかける。それ以上、彼の姿を見るのは辞めた。
私はただの友達だもん。嫉妬なんかする権利ない。
そう自分に言い訳して、また胸が傷んだ。

「あ、めめ今こっち見、」
『ごめん！用事思い出したから戻っとくね』

言いかけた言葉は聞こえなかった。ちょっと！と叫ぶ2人を置いて歩き始める。
胸に抱えたお弁当袋をぎゅっと握った。あんなにいい人だもん。…きっと、私だけじゃないよね。

靴箱に戻って、上履きを取りだした時。

「っぶね、間に合った」

バンと背後から壁に付かれた逞しい腕と、
頭の上から聞こえた、大好きな声。

「みっけ」

…神様は、意地悪みたい。