満開桜と咲かない恋 (ページ18)

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体育祭ページ18

土曜日が終わり、日曜日の朝。
グラウンドにはテントや椅子が並べられて、入場行進の為に生徒たちが集まっていた。

「晴れて良かったねえ」

ニコニコ顔で白いハチマキを巻き
ストレッチをするラウール君はみんなの憧れの的で、
同学年や後輩の女の子達の視線が刺さる。

『…やっぱりモテるんだね』
「何が？」
『ラウールくん』
「ええ！？全然だよ、めめの方が凄いよ」

ほら！と指さした先には、
赤いハチマキを巻いて同じクラスの男の子達と話す蓮くん。
その周りには、この前もいた女の子達。
だけど不思議と、この前みたいなモヤモヤした気持ちはなくて。

「あんなスンっとしちゃってさ。媚びない所が良いんだけどね」
『あは、そうだね』
「Aちゃんも可愛いから、自信もってね」

よしよし、と不器用な手つきで頭を撫でるから、
やめてよと笑いながらその手を掴んだ。
ラウールくんってば、仲良くなって最近こんな扱いばっかり。

『…あ』

その時、バチンと合った視線。
さっきまでこちらを見てなかった蓮くんが見てて、
ラウールくんもそれに気付いて手を振った。

「はぁ！？なにあの顔！見た！？」
『…う、うん』
「ブロック違うからかなあ」

じゃれあってる私達に向かって蓮くんがしたのはあっかんべ。
可愛いことするなとは思うけど…なんで？

「そろそろ整列しろよー」

ジャージ姿の先生達が声掛けを始めてブロック順に並びはじめる。俺1番後ろだから！と行ってしまったラウールくんを確認して、私も動こうとした時。

『わっ』
「…気、抜きすぎ」

不意に誰かに腕を掴まれて呟かれた言葉。
聞き覚えのあるその声に顔を上げると、
いつの間にか近くにいたムスッとした顔の蓮くんが居た。

「俺、頑張るから。」
『…う、ん？』
「じゃ」

それだけ言って小走りで自分のブロックへと戻った。
よく分からずにその後ろ姿を見つめてると、
この前蓮くんの腕を掴んでいた女の子と視線があって、キッと睨まれる。

(………勘弁してください)

すぐに逸らして、私も位置に戻った。
睨まれても、私は全然そんな土俵にすら立ててないですから。

〝それではこれより、体育祭を＿＿＿＿＿〟

恒例の行進を終え、開会式が始まる。

最後の体育祭くらいは勝ちたいな。
ラウールくんと琴葉ちゃんと、たくさん写真撮らないと。
2人ともどんなお弁当持ってきたんだろう。

…蓮くとも、思い出作りたいな。

そんな事をどこかで期待しながら、最後の体育祭が始まった。