満開桜と咲かない恋 (ページ19)

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聞こえた声ページ19

〝ただ今、赤ブロックが優勢です〟

「ひい〜疲れた」
「琴葉ちゃん、お疲れ様ぁ」
「赤ブロックの3年女子怖いよ〜、絶対に敵対視してる」
『どうして？』
「わかんないけど。ほら、今もこっちみてるよ」

私と違って運動出来る琴葉ちゃんは、借り物競争以外にも引っ張りだこで、今も玉入れから帰ってきた所。
彼女が指さした方を見ると、
さっき目があった子と、蓮くんによく集ってる女の子達。

「めめの取り巻きかあ。でもなんで？」
「知らないけど…。A、心当たりある？」
『…蓮くんと話してる所、見られたからかも』
「「それだ」」
『ええ〜〜〜っ…！？』

2人して納得したように頷くんだもん。声も出る。

「前からあの子たち、めめの追っかけだからね」
『追っかけ！？』
「知らなかったの？目黒くんファンクラブがあるらしいよ」
『全然…』

残念ながらこの前まで名前すら知らなかった片思い相手。

「Aちゃん！ごめん！」

そんな時、バタバタと声をかけてきたのはクラスの子。
次は男女それぞれの騎馬戦なんだけど、
上に乗る予定だった1人がさっきの競技で捻挫したようで。

「前後が被ってないのAちゃんだけで、お願いできないかな」

琴葉ちゃんはこの後も出る予定だし、怪我は予測できないから仕方ない。

「俺は男の子だからなあ」

まずまずその身長で上に乗るのは無理だけど、とラウールくんに心の中で突っ込みながら承諾した。
私も少しくらい、役に立たないと。

「気を付けてね。あの子出るっぽいから」

大丈夫と琴葉ちゃんに返事して、入場門へと向かった。

蓮くんの事好きなのかな、睨んできたあの子も。
2列またいで並んでいたその子は、こっちを見て嫌そうな顔をした。

『…頑張んないと』

相手のハチマキを取ったら勝ち。騎馬が崩れたり落ちたら脱落。ゆっくり上に乗って、位置に着いた。

「よーい」

勢い良くなったピストルの音と同時に、走り出す。
不器用ながら何とか2組のハチマキをとった時。

ドン！と衝撃が走って、下にいた子がよろけた。
…わざと、ぶつかった？

グラッと揺れた視界に見えたのは、さっきのあの子。
私のハチマキをとる事もせず、得意げな顔をしていたのを見たのが最後。

『いっ…！』

背中に鈍い衝撃が走った。

「白ブロック一騎脱落です！」

周りの子達が心配そうに見るけど痛みで声が出ない。

「…A！」

そんな時、遠くから大好きな人の声が聞こえて。

『…蓮、くん』

そこで、意識が途絶えた。