満開桜と咲かない恋 (ページ4)

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3年生ページ4

クラス替えは苦手。
卒業してすぐ、渡辺先輩とあべちゃんは上京した。学校が近いらしくシェアハウスするらしい。引っ越した後、2人の写真が送られてきた。
何となく、憂鬱な2週間を過ごしやってきたこの日。

(…3組ね)

張り出された出席番号と名前。一貫校ともなるとクラスも多い。自分の名前を見つけて足早に校舎へと入った。
3年生の教室は1階。上から1年、2年、3年と降りるようになっている。ガラッと扉を開けると、既に騒がしい教室。
自分の席を確認して座ると、またクラス一緒だね！と話しかけてきたのは2年の頃仲良くしていた琴葉ちゃん。

「名前見た？他の子の」
「他の子？」
「そ！あの子いるらしいよ、ダンス部のラウールくん」

その名前に、ドキッとする。
…ラウールくんと仲がいいって言ってた、彼はどのクラスなのかな。

「凄いよねえ、高３であの身長…190目前らしいよ」
『ほえ〜…ハーフなんだっけ？』
「そ！んで何よりあのビジュアル、すごいよね」

そんな話をしていると、ザワついた教室。扉をくぐったのは、噂していたラウールくん。

「生はやっぱりとんでもないね」
『ああいう人がタイプなの？』
「イケメンは眼福！拝むだけ！」

私は彼氏いるから〜と上機嫌な琴葉ちゃん。他の子に呼ばれ、さっさとそっちへ行ってしまった。
1人になった私の傍に、噂の渦中にいる彼はどんどんと近づいてきて、後ろの席に着席した。

(なんか、緊張する)

なぜか溢れ出るそのオーラに背中越しで圧倒されていると、あ！と声を出したラウールくん。その直後、肩をチョンと叩かれて思わず振り返る。

「あー！やっぱりそうだぁ！」
『え？』
「あべちゃんの子！あ、でも俺と喋ったことないか」

差し入れしに来てたから、顔みてそうかなって思ってさ。と
クールな面影に似合わず可愛らしい笑顔を向けた。
そっか、あべちゃんと同じ部活だったんだっけ。

「前後だぁ、よろしく」
『うん、よろしくね』

てっきり高嶺の花的な感じなのかと思ってたけど、案外柔らかい雰囲気の彼と、打ち解けるのに時間はかからなかった。料理が下手とか、実は恋愛した事ないとか、お笑い好きとか。そんな他愛もない話をしていると、扉越しで誰かが彼を呼ぶ声。

「ラウール」
「あっ、めめだ！」

めめ？あだ名か何かかな。にしてもこの声、聞き覚えあるような…？

席を立った彼を、追いかけた視線の向こう。扉に手をかけて少し気だるげに立っているその姿に、思わず心臓が止まりそうになった。