満開桜と咲かない恋 (ページ6)

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おもいでページ6

「俺さぁ、高１から背伸びすぎて制服買い直したの」
『えっ…ほんとに？』
「やばいよね、そろそろ天井突き抜けちゃうかも。めめと知り合った頃は俺の方がちっちゃかったのに」

めめもデッカイけど！と付け足してキャハキャハ笑う声につられて笑ってしまう。ほんとに仲良しなんだな、めめくんと。

「めめもダンス上手いんだよ、辞めちゃったけど」
『そうなの？ダンス部一緒に入らなかったんだ』
「誘ってみたけど、気分屋さんだからなぁ」

ラウールくんからきく「めめくん」は、
マイペースで、おっとりしてて、でも意外と子どもっぽくて好奇心が強い。あと、やっぱりモテる、らしい。

(どんな人なのかなあ)

でもそれは、ラウールくんが知ってるめめくんなだけで、私が知ってるめめくんは、あの日桜を取ってくれた姿だけ。

「Aちゃん、委員会なんかする？全員じゃないもんね」
『私は…1年生の頃からやってるのがあるから、それがいいな』
「意外とそういうの、積極的にやるんだねえ。いいね」

話は変わって、ラウールくんとしたのは4月らしい話。
ざっと授業や諸々の説明があった後、10分の休憩を挟んで始まったのは委員会決め。

「次。図書委員やりたいやつは？」
『…はい』
「お。希望は1人か？じゃあ決まりな」

疎らに拍手が起こる。目立つ挙手制なのが毎年ネックなところ。委員会なんて面倒で誰もしたがらないけど、あべちゃんや渡辺先輩と過ごしたあの場所は間違いなく私の青春の場だから。
部活にも入らなかった私。そんな私が唯一通っていた大切な場所。

「よかったね」
『ありがとう』

拍手をしながらそう言う姿は、可愛らしくてギャップだと思う。少し周りの女の子達の視線は痛い。
モテる男子と話してるからいじめが起きるとかそんなしょうもないことは案外起きない。あんなに人気だったあべちゃんや渡辺先輩といた時でさえ、視線はあるものの攻撃されることはなかったから。

「俺は最後の大会があるし…委員会できなさそう」
『仕方ないよ。頑張ってるのは素敵な事だし』
「ふふ、そういうの言ってくれると嬉しいなあ」

委員会は基本的に、隣のクラスの委員会の子とペアで当番を回す。私は3組だから4組の人と一緒に回すことになる。

(優しい人だといいな)

去年のお相手は、サボってばかりで結局1人で仕事してたな。
委員会なんて名ばかりだから仕方ないけど。

「じゃあ起立ー。」

新学期の初日はそうそう終わった。放課後に向かうのは、委員会の顔合わせ。