満開桜と咲かない恋 (ページ10)

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ひみつページ10

「最近、Aなんか楽しそうだね」
『へ？』

委員会を始めて1週間。今日で、担当ら次の人たちへ交代になる。
3年目の仕事とはいえ、常に好きな人が隣にいるってすごい緊張して、でもその分、毎日あの2時間が楽しくて、あっという間で。

そんなお昼休み、外ベンチで一緒にお昼ご飯を食べていた琴葉ちゃんに言われた言葉。

『そうかな』
「うん、なんかいい事でもあった？」

楽しいと、思う。学校がってよりも、今まで知らなかった蓮くんを知ったから。ザリガニ釣りが好きで、B型でマイペースで、一つの事しか出来なくて、ちょっとだけ抜けてるとこがあって。あと、漢字にも弱い。

〝これ、なんて読むの？〟

この質問、1週間で20回はされたと思う。
思い出して思わず口元が緩むと、すかさず琴葉ちゃんに突っ込まれる始末。

「なーに、隠し事〜？」
『ちがうよ、そんなんじゃないもん』
「じゃあ何よ」
『…友達が増えたから、嬉しいの』

嘘じゃない。……友達、だもん。

あんなにお互いのこと話して、唯一聞けないのは好きな人がいるかってこと。もし彼女さんがいたら？告白する前に玉砕するのは嫌だし、でもいざ聞くのも怖くて聞けない。

「そっか。よかったよ、でも」

先輩たち卒業したら、寂しくなるって言ってたからさ。そう言って笑った。

『あべちゃん達、楽しそうだよ』
「あはは、そうなんだ」
『あっちでも渡辺先輩とダンス続けてるんだって』

彼にはあの後私の近況を伝えたら、よくやったねって文字とスタンプが帰ってきた。あべちゃんらしい。

今日で、一旦委員会で会うのは終わり。次私たちが担当する頃には、季節はかわっちゃってるな、なんて。

「もう4月中旬かあ。桜、散りそうだね」
『そうだねぇ』

2人で桜を見ながらそう呟く。私の大好きな季節が終わってしまう。
本当は、恋バナとか言って女の子通しで色んな話して、キャーキャー言って、そんな恋が楽しいんだと思うけど。

蓮くんを好きな気持ちは、内緒にしたい。

あべちゃんもいなくなった今、この気持ちを知ってるのは私自身だけだし。この恋心は、特別だから。

「グラウンドで駆け回って元気だねえ」
『…あ』

お弁当を食べ終わり2人で教室までの渡り廊下を歩く。そんな時、ボールを制服姿で追いかける蓮くんの姿が見えた。
ゴールを決めて、皆に囲まれてくしゃくしゃの笑顔で笑ってる姿は、あまりにキラキラしてて。

(……やっぱり、カッコイイな)

そんな分かりきったことをまた思ってしまった。